舞台の歌唱シーンのチェックのため、南砂町の稽古スタジオへ。レプカ役の俳優・今井朋彦さんの歌は初めから完璧で、私は何もすることがなかった。だけど来られてよかった、この稽古場に来るのはたぶんこれが最後だし、演出家やミュージシャンやダンサーさんたちに会って挨拶できた。制作の方々と事務的な話をすこしして帰ってくる。
駅工事の関係で、地下鉄東西線が東陽町止まりになる日だった。東陽町駅から南砂町駅まで、臨時の代行バスに乗った。帰るとき南砂町駅の仮設のバスロータリーの脇に並ぶと、向かい側に鉄オタの皆さんがずらりと並んでいて、面白い気持ちになった。バスが入ってくると、撮り鉄の皆さんは各自高級そうなカメラを構え、何かとても珍しい野鳥を撮るみたいに我々の乗るバスを撮った。撮り鉄さんはとかくマナーのことで叱られがちだけれど、人がわくわくしている表情を野鳥側の視点から眺めるのはいいものだなと思う。
帰宅後、思い立って部屋の模様替えをした(縦置きで使っていた本棚を横置きに変更するという、わりとドラスティックなやつ)。昨日もいくつか近場の物件を見てまわったけれど、見れば見るほどいまの部屋がいまの自分に必要十分な要素を満たしているように思えてきて、それならこの部屋をできる限り育ててみようという気持ちになってしまった。新しい出会いばかり求めてないで、いまの私を作ってくれている人間関係をひとつひとつ大切にしようという気持ちと、それは、セットなのだった。