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 午後、梅ヶ丘のカフェでK木さんと打ち合わせ。そのあとTOHOシネマズ新宿で『哀れなるものたち』 観る。ひとりの女が冒険する、ヨーロッパ近代文化史。歴史上のシーンをなぞりながら、だんだん自分の足で歩けるようになってゆくベラ・バクスターを、ときどき覗き穴から見るようなショットが挟まり、監視社会(byフーコー)の匂いが漂う。食欲も性欲も失せる映画なのに、美しさが担保されている。女性の解放史として考えると、うん、これでいいんだと思う。でも、ヨーロッパの現在地はここかあ、と思うと、あまり明るい気持ちにはなれない。救いはあんまりない。ベンヤミンやゴダールが考えてきたことの系譜を辿った映画だと思う。でも、フェミニズムってほんとにこれでいいのかなあ。男性の生きる姿の見苦しさ、息苦しさ、あほらしさの描かれかたとしては、『イニシェリン島の精霊』にも通じるところがある。人間(Man)が神になりかわって、観念的に構築してきた近代の、観念そのものの貧しさ(Poor Things)。ベラがどんなに賢くなっても、コミュニケーションは永遠に成立しない。
 夜、舞台『未来少年コナン』の情報解禁。いろんなひとから、お祝いの連絡をもらう。