夏のあいだじゅう、7月に旅行記を書いたほかは、いっさい日記を書かなかった。詩を書いて小説を書いて、Instagramばかり更新していた。いい夏だった、とても。そういう夏を経験するとは、思っていなかった夏だった。一昨日は中秋の名月で、昨日は魚座の満月で、きょうは段ボールごみの日で、朝7時前にごみ収集所に段ボールを担いでいったら、家の前の落ち葉を箒で掃いているおじさんと挨拶できた。朝食は乾麺のうどんを茹でて、ベランダの大葉と塩たまご入りの納豆うどん。ステップスツールを塗り直そうかなとふと思いたって、近所のホームセンターまで自転車で走っていった。蒸し暑かった。夏の尻尾が足掻いている。今週末には涼しくなる。
ホームセンターで、リネンホワイトという色の水性ペンキと刷毛を買って、切れかけていた洗濯洗剤と歯ブラシも買って帰ってきた。音楽をかけてペンキ塗りをした。深緑だったスツールは、うっすらと青みがかった白いスツールになった。
午後遅く、ひさしぶりにマクドナルドで仕事をしようと思って歩いていった。歩いている途中で大粒の雨が降りだし、マックの座席についた頃、本降りのスコールになった。雨を眺めながら、少し読書。しばらくすると西の空が晴れてきて、雨の向こうに夕焼けが見えた。原稿とにらめっこしていたら雨はいつのまにかあがって、18時にはもう真っ暗だった。新聞に寄稿するエッセイをあと一歩のところまで仕上げて、歌いながら帰ってきた。
夜、定期案件をすこしして、ぺろの爪切り。なんだか散文的な日だった。こういう日もいい。無地の手拭いのような日だった。塩たまごのような日だった。