移動の衝動が、むくむくとふくらんできている。新しい場所に行きたい。それはどこか。まだわからないけれど、こっちではない気がするな、あっちなのかもしれないな、と、具体的な土地の名前を口に出してみながら、自分の直感を試している。
こういうときの私は、ほんとうに見境がなくて、手に負えない。相談できる人を探しだしては片っ端から相談して、自分の気持ちをたしかめて、踏み固めるような作業。親切にしてくれる人には失礼のないように、礼儀正しくしようと思うし、これまでだってできるだけそうやってきたつもりだけれど、それでもやっぱり、暴走モードにスイッチが入っていることは、後頭部でちゃんと自覚している。考えていることがぜんぶ口から漏れていくから、相談にのってくれているひとには、私の話はさぞ支離滅裂に聞こえるだろう。いいぞいいぞ私、やっちゃえ、と思う。振り回してるみなさん、すみません。
周りの友達の変化のニュースがいくつも重なったことも、暴走モードに拍車をかけている。旧友たちは家を買っていたり、ニューヨークに家族で移り住むことになっていたり、ギリシャに家族で移り住むことになっていたり、四〇代ならではという感じの動きを大きく動いていて、そんな話を聞いていると、私もやっぱり、つられて大きく動きたくなってくる。私は私の四〇代を、どうしよう。なんだか道が広すぎて、ぽかんとしてしまう。
「小さくまとまんなよ!」って、昔、ドラマのなかの三上博史が言っていたな。