ドラマ「エルピス」最終話。嗚咽するほどの涙が、何度も何度も出てしまう。「なんで殺されなきゃなんないのよ」という浅川(長澤まさみ)の渾身の台詞に、大きなものが込められすぎていて、私は怒っていたんだ、そうだ、当然だよ、怒っていたに決まってるよ、だって……と、あのこともこのことも、生きていくためにとりあえず忘れることにして読み捨ててきた酷いニュース記事の数々と、それらによって呼び起こされた感情を、いくつもいくつも抱きしめるみたいに思いださせてもらった気がした。どのシーンもよかったけれど、浅川が自分の読むべき原稿を読んだあと、怖い顔してスタジオに居並んだ偉いおじさんたちから「逃げてきたー」というシーンがかわいくて、切実で、私もあんな巨大なビルのゲートから逃げてきたことがある気がして、うれしかった。報道(女=浅川=長澤まさみ)が政治(男=斉藤=鈴木亮平)に「流れで抱かれてしまう」関係をいかに脱するかという話でもあったと思う(自分の仕事を果たそうと決めた直後に、浅川は斉藤に振られる)。こんなに揺さぶられるドラマに出会ったのは、「それでも、生きてゆく」以来かなあ。